インタビュー『この人と60分』

サンナップ/高橋基生社長

 紙コップ、紙皿などペーパーウェアの分野で活躍するサンナップ(東京都千代田区)は現在、商品価値の認知へ向けて消費者に対する新たな生活提案を促進している。現状と課題、今後の取り組みなどについて同社の高橋社長に語ってもらった。

 今年ここまでの状況を振り返ると、本来なら需要期として盛り上がるべき夏場が不振だった。景気の悪さや天候といったものではなく、バーベキューなどアウトドアの行楽機会が減少したものと思う。それは、交通法規が変わって飲酒運転に対する罰則が厳しくなったためだろう。バーベキューをしてもビールが飲めないということからなのだろう。


 こうした例はともかく、今の消費者は「安いから買う」ということはなく、ちょっとした要因で需要が伸びたり減ったりする。休日に出かけてレジャーを楽しむという傾向はそう変わっていないが、そこで飲食するという点については変わってきているということである。狂牛病や同時多発テロが騒がれた時のような場合は楽しく遊ぼうという気も起きないだろうが、実際にレジャー機会自体は減っていないにもかかわらず、社会の変化とともに需要構造が変化している。
 

 そうした変化をよく見ながら企業経営を行っていくことが重要だ。残念ながら、現状では価格に興味を持つ関係者は多くとも、社会現象とビジネスの関連性を考慮している人が少ない。一般的には理解しているのだろうが、どうビジネスにおいて具現化していくか、まだ実行している例は少ない。
 

 例えば環境問題にしても、我々の業界では従来、便利だから大量に使ってくださいという売り方を進めてきた。しかし、非木材を使おうと、再生紙を使おうと、ゴミ問題一つとっても決して良いとは言えない。そこで、「適量を」「適正価格で」買ってもらうことが、これからのペーパーウェアにとって正しい在り方だと思う。

 誰が、どのように使えば商品の価値を認めてもらえるのか、今後は真剣に考えていく必要がある。当社では、オフィス需要としての紙コップなどの分野が業績を伸ばしている。大抵の会社では、お客が来社すると秘書や担当者などがお茶を出してくれるが、米国あたりでは社長ですら自らコーヒーをお客に出してくれる。日本でもそうした時代になると思うし、そうなれば紙コップなどの需要はまだ伸びる。

 また、会社内で食事を済ませるケースも多くなってきた。飲み会すら外ではなく社内で行うことが増えている。そこでペーパーウェアが使われる潜在需要があると思う。

 食器を使って、洗剤で洗って水を汚すのと、紙製品を使ってそのまま捨てるのとを比較して、どちらが環境に対する付加が大きいかは、その時の食べ物などによって異なる。油の多い食事などは洗浄に多量の水を要するので紙製品が最適だろうし、これから高齢化が進み食器を落として割る心配を考えてもそうだ。もちろん、通常の食器にも利便性はあり、紙では味気ないという場合などもあり、その使い分けが認知されてくるのが望ましい。

 少なくとも紙製品については、そうした新たな需要に対応した品質、機能が求められるだろうし、今のアウトドア用製品をそのまま家庭内に持ち込んでも難しいだろう。環境や自然への配慮、使い分けの促進、品質アップが図れれば、市場はまだ期待できる。

 実際、消費者はさまざまな使い方をしてくれているが、現在の小売店頭を見ると相変わらずアウトドアでしか使えないようなイメージの売り場作りをしている。もしくは入り数の多い、低価格の商品が大量に並んでいるだけという場合が多い。家庭での使い方を訴求するなら、売り場も、そして商品の機能性も変わってこなければならない。食器としての質感なども重要だ。デコレーションとしてテーブルに並んだときのことを考えなければならないし、それが売り場に反映されなければならない。紙コップ1個当たり5円だった物を4円、3円にするという施策はあっても、今の売り場では消費者が使ってみようという気にならないだろう。ペーパーウェアなどは毎日使うというものではなく、5円が4円になったから買うという消費行動ではない。

 サイズにしても、流行のスターバックスあたりで最低の容量は240mlだが、通常の紙コップは205mlで、それが売れ筋だといって凝り固まっている。消費者の好みが大容量化に向かっているのに、10年前、20年前の売れ筋が今もって売れ筋だと思われている。そうした点からも、もっと社会の変化に対応していくことが必要だ。また、そうすることで我々の市場は有効になってくるだろう。

 あるチェーンの経営者は「あえて売れ筋ではない商品を並べ、それを10人に1人、100人に1人のお客が買ってくれる。そんな商品をどんどん投入することで売り場に楽しさをもたらす」と言っていたが、残念ながら今の小売店ではほとんどの商品が売れ筋を固定させる傾向にある。ペーパーウェアなどもそうだが、その商品の価値を消費者にどう認めてもらうか、もっと真剣に検証しなければならないと考えている。

 アウトドアだけでなく、家庭内で、日常生活でどう使ってもらうか、その掘り起こしが重要だろう。昔、おいしいコーヒーを出す喫茶店では必ず陶器のカップを使っていた。しかし先ほどのスターバックスでは紙コップにフタをかぶせ、場合によっては外で飲むスタイルを確立している。また、若い人の間では、主食か副食か区別しにくい食事スタイルがある。そうしたトレンドはもちろん、もっと生活や社会の現状をとらえ、うまく活用していきたい。アウトドアからインドアへ、シーズン需要から年間需要、エブリディ需要を目指していく。

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