|
卸流通業界において現在、大手卸店を中心とした再編劇の真っ最中ですが、これに対してどう見ていますか。
「パルタックさんやあらたさんのように地域を拡大していく戦略は、それはそれで理由が明確であるし、理解できる。ただ、首都圏でビジネスを展開してきた当社としては、このエリアで中間流通業を営む上で、以前より申し上げてきたカテゴリーコントラクターを成功させるという大きな課題がある。まだ志半ばであり、それを推進すべく経営資源を投入することが、我々にとって最優先だ」
卸機能の充実が重要ということですね。
「首都圏の卸店という特性を考えても、新たな卸売業を創り上げるという点に全勢力を傾注していく。その意味で、全国的な展開を図るということは考えていない」
両大手卸の拡大のスピードは加速度を増していますが。
「カテゴリーコントラクターには地域も何も関係ないわけで、当社としては次世代へ向かって、卸売業の業態変化を進めることが先だと思う。商圏が首都圏だからこそできていることではあるが、そのメリットを最大限に生かしながら業態変化をいち早く成し遂げたい」
全国展開はないということですか。
「これは全く別の問題と捉えているが、少なくとも現在は、地域拡大にプライオリティを置いていない。何より機能充実が先で、その後の状況によっては全国展開というチョイスもあるかもしれないし、それ自体が悪いことだとも思わない」
ここまでカテゴリーコントラクターに傾注する理由は。
「日本の流通がグローバライゼーションにさらされてきており、卸店は従来の建値制の中では商売を続けていけないという現実がある。そこで、変わる環境、問題に対応するためにコストプラスの考え方などカテゴリーコントラクターが重要になってくる。国際的なロジックで進めることが重要で、なぜ卸店がこれだけのマージンをとって、これだけのフィーをとるということがはっきりと言えなければならない」
今までの卸売業は、確かに大雑把なところがありました。
「提供したサービスが幾らかかるかということを把握していかないと、中間流通業として21世紀に生き残っていくことができない。この部分を最重要視している。ものをカテゴリーで見ることができるのは卸売業だけで、それはメーカーも小売店もできないこと。カテゴリー管理によって消費者満足をどう得ていくかを提案することが、我々の立場では可能となる」
そのために必要になるのは。
「取引先との間で互いに情報開示が求められるだろう。メーカーとの間で、得意先との間で全て開示した上でパートナーシップを組む、すなわちWin−Winの考え方が重要。我々は得意先に対して、商品だけでなく情報も物流機能も提供する。もちろん卸店は、これだけ利益を得ているということも相手に認識してもらって初めてできる関係だと思う」
御社のみならず卸売業界がそうした方向に向かっているようです。
「これを言い続けて4年近くなる。その考えを捨てて他社と共に全国展開するというのは私の戦略ではない。成功例を積み重ねていくことで、卸店として体質改善を図り、新業態を創り上げ、我々の言うカテゴリーコントラクターに変貌していくことを目指している」
全体最適という視点も重要になってきますね。
「部分最適の手法では、最終消費者に申し訳ない。どこまで消費者のために効率的な流通を構築できるか、やはり全体最適を見据えて中間流通業の在り方を考えなければならないし、そのためのパートナーシップをどう組んでいくかということだろう」
特に首都圏という市場の特異性を考慮した展開が期待されています。
「他の地方とは性質が大きく違うわけで、首都圏については我々の使命としてできることを進めて行かねばならない。そのためのカテゴリーコントラクター、業態変化であり、少なくとも従来型の卸店に逆戻りすることはあり得ない」
最近、社内的に活発な動きが見られますが。
「今期より3カ年計画で、構造改革を強力に進めている。現在まで計画通り順調に推移しているが、もっと筋肉質に、収益性の改善をより早めるというところに力点を置いている」
組織面ではいかがですか。
「合併後の方向性も定着してきたことで、組織的にスリム化を図った。キャリア転進支援制度なども導入し、当社としても満足できる形で進めることができた。また、量販店対応の第一営業本部を再編し、従来のエリア別管理から個別の得意先ごとに対応できるように変更した。これはパートナーシップを深める形にしたもので、それぞれの得意先に最適な対応ができるようになった。この再編については物流拠点を中心とした。商物一体というか、営業と物流、情報システムが一体となったサービスが提供できる。卸店にとって物流は一つの大きな機能であり、営業などとの連携プレーがサービス向上に役立つと思う」
業界内外で注目を集めるコストプラス方式も定着してきましたか。
「かなり高いレベルに達してきていると思う。カテゴリーコントラクター推進室内に計算ができる専門家も増えており、能力も大夫ついてきた。現場へ出向いてストップウォッチで測り、それを全て原価計算することができる。これができないとカテゴリーコントラクターにはならない」
新たなビジネス領域については考えていますか。
「(店頭フォロー会社の)RMSは実際に活動し、収入も得ているが、それ以外に特に新規事業はない」
チヨカジ、ダイシンとの合併以降、商品の幅も広がりましたね。
「アイテムが拡大したことで、これをこなすのはそんなに簡単なことではなかったが、非常にうまくいっており、戦略的に間違いではなかったと意を強くしている。品揃えも機能の一つであり、得意先に対してなるべく幅広いカテゴリーレンジで届けられるというメリットは、物流面だけでなくマーチャンダイジングの上でも大きい。例えば化粧品とトイレタリーのボーダーがなくなりつつあり、それを両方手掛けていることはカテゴリーミックスという意味でもメリットがある」
いま、卸売業全体についての課題は何だと見ていますか。
「機能を明確にして、機能に対してフィーをもらうという在り方を確立することが最も重要だと思う。そうして健全な収益性を確保することだろう。それによりセンターフィーの問題などについても解決していく。最終的には最も合理的なものが選ばれて残っていく。ただ、本当に合理的かどうかが不明であるところに問題がある。これを明らかにすることで努力すべき点がはっきりしてくるし、メーカーや小売店、サードパーティーがやるよりも卸店の方がやすく、正確に、早く、クォリティも高くやれることが実証されれば、必ずそこに仕事が行くはずだ」
御社では仲間卸との取引があります。この取引についてのどう考えますか。
「非常に重要だと認識している。物は毛細血管まで流れてこそお客に役立ち、流通として簡潔するものだと思う。その中で地域により根ざした卸店が存在することは極めて大切だ。こうした卸店と当社は長い間取引させていただいたが、今後もさらに合理的、効率的、効果的な関係を結んでいくか考えていきたい。例えばITを駆使した情報共有なども進めており、こうしたことで共存共栄、互い良いビジネスによって末端まで良い商品を届けるという使命を果たしていきたい。それこそが消費者のためであるという信念のもと、より強化していく」
|