インタビュー『この人と60分』

エフティ資生堂/細川治社長

 昨年のホールセール社長会では、新たな企業姿勢というか、今後の方向性を明確に打ち出しましたね。
 「資生堂グループ全体の中でエフティ資生堂(FTS)の位置づけは非常に重要で、企業ロゴも横文字を用いてアイデンティティを確立、顧客の裾野を広げる役割を担う。非常に厳しい市況において、FTSが業界の中で一つのエポックメイキング的な仕事をするという使命を果たしていかねばならない。また、そうしたことを期待されていると思う。そのために「資生堂ならでは」のファインなトイレタリーを築き上げていきたい」

 最近の業績についてはいかがですか。
 「上期はまだ満足できるレベルになく、卸店の経営にも貢献できなかったが、10月以降は非常に力強い動きになっており、店出しベースで前年比104%ほどで推移している。新たに投入した「スーパーマイルド」がスムーズに導入されたと同時に、集中化戦略により発売する製品を絞り込んだことで、販売施策、宣伝などもうまく展開できていることが大きい。また、「スーパーマイルド」に引っ張られる形で周辺のアイテムも好調に推移して上乗せしており、その意味では良い循環を見せているといえる」

 「水分ヘアパック」も良い動きのようです。
 「これは、3品のトリートメントがトップシェアを獲得しており、それまでやや迷いのあった生理用品分野では「センターイン」のデオドラントが理解を得始めている。それまでなかなかできなかった価値訴求ができるようになり、現在では前年を上回る動きを示している。そうした牽引車が生まれつつあり、営業面でも明るさを見せてきている」

 そうすると今後の動向は期待できますね。
 「現在、この春の新製品も評判が良い。取り組みがうまくいき、我々の考え方も非常にうまく伝わっていると思う。その背景には、商品一つ一つについて品質を追求し、競合品を凌駕するようなものをつくり出していることがある。また、商品性という部分で、使用感やパッケージング、発売時のキャッチフレーズなど、消費者の視点で考えていることがある。さらには、長期的な育成計画を着実に展開することを訴えていることが奏功している」

 これまでは本社に全てが集中する傾向にありましたが。
 「本社としてやるべきことはしっかりと遂行するが、その後は各支店がそれぞれにプロジェクトを組んで積み上げたものを流通に案内していけるようになってきた。市場や地域性に合わせた形で動けるように、支店独自の施策も応援していきたい。その点では活発な活動ができるようになってきた。基本がしっかりしていれば弾力的に動ける。重点カテゴリーとして掲げたシャンプー・リンス、洗顔料、ヘアケアなどについても、どこに力点を置くかがはっきりしており、その上で各支店が強化を図っている」

 今回の細川体制になってから、より資生堂色の強い企業になってきたようです。
 「FTSのみならず、資生堂全体が求心力のあるグループになろうという大きな方向性がある。就任以来、各地を回ってみても、そうした面を期待されていることが判った。もう一つは、大きな意味での資生堂のイメージが、各社からバラバラに出ていってはわかりにくいということがある。以前にはさまざまなアプローチが必要だったが、現在のようなデフレ経済下においては、カテゴリーごとに強い商品を持っておく必要がある」

 流通からの期待も大きいようです。
 「今回の施策によって、新年以降は資生堂グループ全体が大きく変化していくものと思う。FTSも同様だ」

 下期の目標としてはいかがですか。特に収益性の改善については。
 「V字型回復へ向けて堅調に推移すると見ている。工場を中心としたコストダウンも進めている。また「マッスルプロジェクト」を立ち上げ、ありとあらゆる指標について見直しを進め、改善を図っている。さらには、販売の体質改善について、返品の減少化や期末集中型販売の是正などを在庫の縮小などを進めている。ただし、まだまだ努力していく必要はあると感じている」
 国内で改革を進める一方、海外戦略についてはいかがですか。
 「台湾では、基盤を構築している最中と言えるが、無理して拡大していくつもりはない。韓国については商品が少ないので、その面での強化も進めたい。他の地域も検討中だ。いずれの場合も国情や消費者ニーズが異なるわけで、それに合わせた展開を目指したい。ただし、まずは国内の基盤をしっかりと固めたい」

 商品面での期待も大きいようです。
 「その部分では大いに期待していただきたい。特に単品コスメといった分野について当社として自身を持って出せるものがないので、今年秋ぐらいには方向性、在り方を示したいと考えている。もう一つ、ヘアケア分野で「水分ヘアパック」が好評をいただいているが、さらにスタイリング市場についても検討を続けている」

 「シーブリーズ」、「ニュートロジーナ」の今後については。
 「シーブリーズは効率的な販売を目指す一方、これだけ消費者の支持をいただき認知度も高いことから、今後も大切にしていきたい。基本的なコンセプトははずすことなく、しっかりと育てていく。新製品の「ボディリセット」も発売前から流通の支持を集めている。これまでは商品とコミュニケーションとの結びつきが明確でなかったが、今後はブランドと宣伝などを密着したものにする。また、どうしても中だるみの時期があったので、ここで中押しするように考えていく。マーケティング費用についても従来以上に投下していきたい。「ニュートロジーナ」は「ボアシリーズ」が牽引車となっているが、化粧品に近い分野だけにトイレタリー商品と同じようには展開できない。売れる店、重点取り扱い店を設定し、そこに絞り込んだ形で展開を図っている」

 トイザらスやイオングループとの取り組みでPB商品も発売しましたが、今後の考えとしてはいかがですか。
 「我々のメインは卸流通であり、これを阻害するような形ではやらない。こうした取り組みによってシナジー効果があがることが重要だ。小売業との取り組みは、商品だけでなくいろんな形があると思う。あくまでその一環と位置付けている。どんどんPB商品を拡大していくということではない」

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