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今の経済については、考えている以上に資産デフレを強く感じている。私は、経理、財務の出身だが、ここまで資産デフレを予想できなかった。従って経営に当たっては、資産デフレや不良債権問題など厳しい中にあって、グループ1つ1つの企業が利益を出して価値を高める以外にない。 花王は、これまで本業以外に何ひとつ投資をしてこなかった。先のバブル対策以外、何の悩みもなかった。われわれは基本的に、競合他社に勝つことではなく、消費者をいかにして見ていくかが大切ではないかと思う。それには「研究・開発」によっていかに新しい価値を提供するか、そしてイノベーションでどうやって価値を高めるか、これが重要だ。 当社の売り上げは80年に2500億円、これが90年に5500億円と10年で約2倍に成長したが、これは「アタック」や「バブ」など新しい価値創造、そして最近では「エコナ」を提供するなど、新しい土俵に価値を提供していることによる。また、5月末に新しいお茶飲料を発売、1日1本を飲むと明らかに体の体脂肪が減るといった新しい価値に商品として「ヘルシア」を提供する。花王の強さは技術革新を提供することにある。 春の新製品では脱毛予防の「薬用フラバサイト」や「クリアクリーン・ホワイトニング」、「ビオレパーフェクトオイル」、そして4月より「アタック漂白剤in」、「アレルクリン」を投入、化粧品、ヘルスケア各分野でも新しい商品を投入した。「エコナ」は250億円ブランドに成長しているほどだ。 一方、海外ではADM花王から「ENOVA」(エノバ)をテスト販売、この夏頃よりナショナルブランド化するかどうかを決める。 新しい商品、良い価値の商品を提供するには、チャネルを限定してジワジワと売るやり方と一挙に拡げる方法の二通りに分けて展開する必要がある。 中国に3千万ドル投資 花王は確かに「増収増益ながら、成長が見えない、株価が上がらない」と言われているが、約束したことは守る。長期的には利益を還元するということは約束できる。それには国内の利益を減らすことなく盤石のものとしておかねばならない。世の中の変化に対してどう強みを発揮していくか、常に変化に柔軟性を持つことだろう。 昨年、KMSリサーチ(アメリカ)を買収、ジョンフリーダなどのアーティストブランドを買収して、欧米では順調に事業が展開している。化学品事業も順調だが、問題はアジアだ。アジアは2つに分けて考えており、オーストラリアを含む9カ国で展開して来年で40年になる。花王の直販体制導入や日本で成功したブランドの発売など、各国のニーズに合わせて展開してきた。 3年前にアセアンビジネスセンターを設立、商品開発を含めアセアン5ヵ国での即断即決の体制とした。また、中国、香港、台湾の中華圏も同様な考えで進め、3000万ドルを投資して持株会社を設立した。こうした投資は、中国に対しては一歩も退かない、というコミットメントを現した。 93年に上海花王を設立、またこのほど、伝化という会社に資本参加し伝化花王を設立した。上海花王は日本からの製品主体に進めているが、伝化は食器用洗剤2つのみの展開ながら、中国の卸を使うなど中国イズムを持った面展開を行っている企業。特に華東5省に強みを持つ。花王、伝化の強みを生かし、中国事業での成功への道のりを身近にしたい。 中国用の商品は日本でなく、中国での研究開発を充実させたい。やはり現地の生活に根付いた展開をしていくことが重要で、これまでの経験からも感じている。それによって新しいニーズを起こし、ライバルにできるだけ近づけた新しい仕組みをつくり上げた。こうして、中国になくてはならない商品をこの1、2年でつくりあげていくことが大切だろう。 アセアンでは現地ニーズ、収入に合ったもの、現地の生活を見極めたものでないと成功しない。この3年間、8つのブランドをコアとして絞り込み展開している。 アメリカでは92年から6年間、ジャーゲンズを経営してきたが、バリューブランドと呼ばれる低価格品を切り捨て、価値の高い商品のみを扱う企業になってきた。ハンド&ボディローションでは米国ナンバーワンに、その後も「キュレル」、「バン」、「ビオレ」を含め4つのプレミアムブランドを持つ。さらにジョンフリーダはイギリス、アメリカに強く、ドイツのグールなど、規模は小さいながら市場は広がった。今後も価値あるブランド、企業であればM&Aも前向きに行いたい。我々の持つ技術を、いかに広いブランドで、広い地域で役立てるか、それが花王にとって大切なグローバリゼーションと考えている。 |