|
「イオナ。私は美しい」というキャッチフレーズで30代以降の世代に高い知名度を誇るイオナ インターナショナルが、ロハス志向の高まりとともに若い世代からも注目を集めている。昨年6月に東京・霞ヶ関から銀座へ本社を移転、10月には創業30余年で初のパッケージリニューアルを行うなど、新しく生まれ変わろうとしているイオナの今を赤澤社長が語った。
−−就任6年目を迎えられましたね。
「社長を務めるのは02年からですが、父が創業者なので、イオナについては小さい頃からいつも聞かされてきました。イオナとはずっと一緒に育ってきた感じがします。私の体の中にはイオナが流れているようですよ」
「私にとってイオナは、工業製品ではなく想いや心の現れです。美しくあるということ、愛するということ―この2つが大切なコンセプトとして根幹にあり、それを実現するためスキンケア製品として具現化したものだと考えています。こうした想いが伝統としてイオナに残っていってほしい。そうした普遍的なことを発信していくのが私の仕事です」
−−なぜ、スキンケア製品なのでしょうか。
「服やメーキャップはその時々で変えることができますが、お肌は代わりのきかないもの、ターンオーバーがあるといっても一生ものです。健康で輝く肌が一番きれい。スキンケアは表面的にカバーするのではなく、自分の中の力を引き出すものです。人が活き活きしているということは、細胞ひとつひとつが活き活きして、心も活き活きしているということ。お肌は女性の人生においてとても大切なものなのです」
「私は朝起きると、頬を両手で包むようにして肌の感触を確かめます。昨夜つけたクリームによって肌のうるおいが守られているという幸せを、イオナのご愛用者の方と同じに、毎朝味わっています。女性にとって本当に大切な肌、幸せを育てていく。だから私はイオナに対して誇りをもっています」
−−成分訴求型がセルフ化粧品市場を席巻しているようですが。
「薬のような強い効能や、様々な機能をうたっている場合も見受けられますが、個々の製品から離れて配合成分だけが一人歩きしているようにも思えます」
「イオナは安全で安心だからずっと使い続けられること、サステナブルであることを大切にしています。自分の中にある活力や生命力を高めるのに最低限必要なものだけを与えて、無駄なものを入れません。生け花における“足す”ではなく“引く”姿勢と同じで、無駄をそぎ落としていって一番いいものだけを残しました。ラインナップもシンプルで、ソープとクリームの2ステップから始めて、今も少品種で展開しています」
−−ロハスに通じる考え方ですね。
「ロハスという言葉は、日本では最近よく使われるようになりましたが、イオナは創業時からロハスの発想でやってきました。イオナは“原始の海、太古からの地球の恵みを肌の輝きに変えていく”というコンセプトに基づき、地球誕生の過程で造られた岩石である聖徳石から抽出した約20種のイオン、それにヒアルロン酸などを配合しています。強い刺激を伴うような一時的な即効性を追うのではなく、サステナブルにずっと使い続けて頂けるように、着実で『たおやかな効き目』を追求しているのです」
「よく海外にも視察に行くのですが、マーケティング以外にライフスタイルや人の考え方などを見てきます。その土地の女性はどんな風に考え、感じて生きているのだろう、その人生の周りにどんな製品があるのだろう、そんなことを見始めるとキリがありません。日本なら日本に生きる人の人生の中に文化があって、その中で毎日おつきあいするものとして製品があり、イオナの製品は朝晩と1日2回ご愛用者の方にお目にかかるわけです。“そこにイオナがいてくれる”という安心感を、ひとりでも多くのお客様に感じて頂けたらと思います。『敏感肌だけどイオナなら安心』と言う方も多く、安全であるというのが当社の大きなポリシーです。サステナビリティにつながるものだと思います」
−−長く愛用される方が多いブランドですね。
「イオナは物質や成分といった“もの”にしっかりと“心”を込めて作っています。発売当初から、そういう姿勢で成り立っているブランドです。それをしっかり受け止めてくださり、20年、30年にわたって愛用してくださる方が多いのがイオナの特長なのかもしれません。ずっと使って頂くということは、たくさんの化粧品の中から選び続けて頂いているということで、本当に驚くべき、誇らしいことです。『もう50年使っているわ』とおっしゃる方がいらして『あれ?イオナは創業33年ですけど?』と思ったことがあります(笑い)。きっと、『私はずっとイオナなの』とインプットされているということですね。本当にありがたいことです。50年、100年と事業を続けて『私は100年使っていますよ』と言って頂きたいですね」
−−幸せ」という言葉を繰り返し口にされますが。
「日々の生活で大変なことがあっても力強く美しく輝くことを応援するのがイオナ。それなのに私たちがしかめ面をしていたら、幸せを発信できません。まず働いている人が幸せでいることが大切で、そのために社長として何が出来るかを考えています」
「時々、工場や本社でも話すのですが、お店の棚に並ぶイオナの製品が『ハッピー、ハッピー』と弾んでいる気がします。イオナで働く人の“イオナを大好きだ”という気持ちが込められているからではないでしょうか。それを消費者の方々が感じて受けとめて下さるからこそ、イオナはロングセラーなのです。ロイヤルユーザーの方々が多く、イオナの良さがクチコミで伝わっていくということは、イオナを愛する人の気持ちと気持ちが強く結びついているということであり、ブランドとして大きな価値です。これからもそれを高めていきたいと思います」
「また、9・11(米同時多発テロ)を機に幸せについて見つめ直したことも影響しています。以前ニューヨークに住んでおり、9・11が起きたのは日本に帰ってきたその年のことでした。住んでいた部屋から2ブロックほどしか離れていないタワーが崩れていく様子を、テレビの生中継で見ました。私にとって第二の故郷ですし、友人もいますし、とても他人事とは思えませんでした」
「ニューヨーク市民は悲惨な状況であっても、お互いに助け合って生きており、活き活きとしていました。命の大切さを心から感じました。生きていることが大事だというのは、活き活きと生きていることが大事だということなのだと。自分がやれることはやらなければという強い気持ちが生まれました」
「あの出来事は、私達の世代が覚えておかなければいけないこと、世界の一員としてしっかり受け止めなければいけないことだと思います。特別な事態が起きていない日々の生活にも様々なことがあり、ストレスが生じます。あの時に感じた、幸せであることの大切さや、また今の幸せが一瞬で失われるような困難があっても、もう一度幸せになろうとしていく命の強さといったものが、私の“イオナをやっていこう”という気持ちと合致しています」
−−昨年は本社移転や、初のパッケージリニューアルを行われましたね。
「06年6月に東京・霞ヶ関から銀座へ本社を移転しました。銀座はコンセプトを大事にしている街です。大切なことをじっくり大切にする伝統の街でありながら、最新モードの発信地という2つの顔を持つところがイオナの思想に合っていると思います」
「その後、10月に創業以来初のパッケージリニューアルを行いました。形にはある程度、時代的な要素があります。若い人も手に取りやすい、訴求力のあるものになりました。イオナの哲学や大切にしているものは変わりませんが、日々進歩しているところも見て頂きたいと思います」
−−さらに新しい取り組みに着手されるようですが。
「来年秋から冬にかけてイオナのラインをアップグレードします。これまでもマイナーチェンジはしてきましたが、今回はアップグレードと呼ぶにふさわしいものになると思います。処方を変えるものもありますし、ボトルはデザインだけでなく、より清潔に保つという機能も改善されます」
「肌にやさしい、余計なものを入れない、ということに関してはこれまで通り徹底してこだわります。また、テクスチャーについても、イオナの特長として大切にしているところですので、変更ではなく、今の路線を引き継ぎつつ長所を伸ばします。特にイオナのテクスチャーを実感していただきやすいのはクリームです。クリームは重いというイメージがありますが、イオナのクリームは、ふんわり軽くて上質な生クリームのようです。しっとりするけれどベタつかず、さらり、ふんわりとした感触です。このクリームを含めイオナの良さを大切にしていき、あらゆる年齢層の方にお届けしたいと思います。新しいクリームは、ほぼ完成のところで私がNGを出して作り直しになりました。妥協を許さず、作りあげた新クリームは、翌朝のしっとり感が違いますよ」
−−変わらず大切にするものと変えていくもの。今後イオナはどのような道を歩んでいくのでしょうか。
「私は夢は大きく描くというタイプです。夢を見なければ何も始まりませんし、夢見た通りになっていくと思います。スキンケアの場合、日常の本当に基本的なところに携わっているわけですから“お役に立ちたい”と願う気持ちをどうしたら形にできるかを考えることで、企業として大きなピクチャーを描くことができるのではないでしょうか」
「夢とは“こうしたい”という意志です。私だけでなく、社員みんなで夢を育て、協力することで是非、実現させていきたいです。イオナには多くの夢があります。直近で実現する夢が来年のアップグレードなのです」
|