●海外レポート


第2回

世界有数のパーム油市場に触れる 〜マレーシア〜

 インド及びマレーシアへの視察研修。前回は視察全体の概要をお届けしたが、2回目となる今回は、11月5日〜7日の3日間滞在したマレーシアでの模様を掲載する。洗剤の原料ともなるパーム油の生産量が世界トップクラスを誇る同国の状況を、一行はどう捉えただろうか。
【本紙記者=太田健一】

 マレーシアは、13の州と3つの連邦特別自治区によって成り立っている。国土面積は33万338平方キロメートル、人口は約2500万人。日本の面積の9割弱の土地に、日本の人口の16%程度が住んでいる。人種はマレー系65%、中国系25%、インド系他が10%からなる多民族系国家。宗教も様々で、国教は法律により、イスラム教と定められているが、一方で信仰の自由も認められている。中国系の人々は仏教、道教、儒教、インド系の人々はヒンズー教を信仰している人が多い。
 年間の平均気温が26〜27℃という気候を背景に、天然ゴム、パーム油、石油など一次産品輸出国として発展してきた。さらに、80年代後半から緩和した外資系の導入により、現在では製造業を中心とした工業化が進んでいる。
 一行が訪れたペナン島は、マレー半島の北西部沿岸に浮かんでおり、歴史ある建築物やビーチリゾートを持つことから「東洋の真珠」とうたわれている。本土とは全長13・5kmのペナンブリッジでつながる。中国系の人種が多く、島内では海鮮や麺、飲茶などを扱うレストラン、屋台が目につく。日本との時差はマイナス1時間。

◆◇◇◇
 初日となった5日、一行は成田空港、関西空港に分かれて日本を出発、成田利用者は約7時間30分、関空利用者は約6時間かけてクアラルンプールに到着した。合流後、約1時間の空路でペナン島に入島。現地時間の午後8時ごろ宿泊先のホテル「エクアトリアル」にチェックインした。
 2日目は、花王の現地法人FCM(ファティケミカルマレーシア)を訪問した。同社は花王ソープ、花王オレオケミカル、花王プラスチサイザーから成り、原材料であるアルコールや可塑剤、EBワックス、石鹸チップや製品化した石鹸をそれぞれ扱っている。
 一行を迎えた同社の平尾宗樹社長が、会議室でマレーシアの概要やオレオケミカル関連の現状などについてスライドを用いて説明。その中で、全世界のパーム油の生産量が2790万トン(03年)、2910万トン(04年)、3100万トン(05年)に対し、マレーシアが1340万トン(同)、1360万トン(同)、1380万トン(同)で世界トップであることを説明すると共に、同国では、国土面積の約20%にあたる100万ヘクタールがすでにパームプランテーションであり、これ以上面積を増やせないことなどから、隣国のインドネシアが1030万トン(同)、1130万トン(同)、1250万トン(同)と大きく生産量を伸ばしてていることを述べた。
 その後、工場内のコントロール室やグリセリンタンク、また、世界で初めて固定床反応を工業化レベルで実現させたという設備を見学した。さらに、日本や台湾、香港、シンガポールへ輸出している化粧石鹸の製造ラインを見学した。ここでは1分間に190個を製造しているという。日本への化粧石鹸の輸出は、花王では同工場のみであることから、たいへん貴重な場面を目の当たりにすることができた。

◇◆◇◇
 続いて訪れたのが、FCMに隣接する大手プランテーション会社、IOIグループのアシッド・ケム。鐘威徳、劉志泉、ノーザムリー・イブラヒムマネージャーらが同社の概要などを説明した。中でも同社の特長として強調したのが、特殊な石鹸チップを用いたオリジナル石鹸をメーカーの要望に応じて作成していることやそのサンプル作成も1kg単位から応じていることなど。日本市場でもバラエティショップなどで高価格帯の差別化製品が売り上げを伸ばしつつあることからも、今後のビジネス拡大可能性を感じさせた。
 その日の夜は、地元でも有数な海鮮料理店で改めて結団式を行った。白浜のビーチをバックに民族舞踊を堪能するなど、地元の文化をおおいに味わった。

◇◇◆◇
 3日目は午前中に島内を観光。華やかな装飾で飾られたタイ様式の寺院や、通りを挟んで建っている緑に囲まれたビルマ様式の寺院などを訪れた。両寺院とも、日本ではまずお目にかかれない煌びやかな色使いの装飾が特徴的だったが、一歩本堂に足を踏み入れると、タイ様式の寺院には、本堂いっぱいに横たわっている33mにも及ぶ寝釈迦像、ビルマ様式の寺院には、金色に輝く巨大な釈迦如来像やアジア各国の釈迦像が立ち並んでいた。
 その後、コーンウォリス要塞跡地を見学。この要塞は、1786年に東インド会社のフランシス・ライトが上陸した場所に建設されたもので、囚人たちが2年間かけてレンガを積み上げてつくったという。現在残っている外壁と数々の大砲が、200数十年にも及ぶ歴史とその存在感を示していた。
 その後、スーパーマーケット「ジャイアント」への店舗視察を実施。トイレタリー用品では、ユニリーバの「ダヴ」や「ラックス」、P&Gの「パンテーン」などシャンプー・コンディショナーのほか、ライオン「植物物語」、花王「ビオレ」、「アタック」、「ロリエ」などが整然と配置されていた。ヘアケア商材は500mlで現地通貨15〜16リンギット(1リンギット=33円)で販売されていたが、現地ではコカ・コーラが1本1リンギットで販売されていることを考えると、その物価指数の違いから一概に日本市場との価格比較はできない。
 その日の夕刻、ペナンからクアラルンプールに空路移動し、マレーシアの視察は終了。経済成長著しい、灼熱の国インドへと旅立った。

◇◇◇◆
 昨年、パーム油は大豆油を抜き、すべての油脂類の中で最大の生産量を記録した。それだけ必要とされる理由は低価格であることや年間を通して収穫できること、精製後に酸化しにくいことなどがある。原油価格の高騰に各メーカーが悩みを抱えていることからも、パーム油はたいへん貴重なものだろう。
 現在、日本がパーム油を輸入しているのは100%近くがマレーシア。インドネシアの生産量急増という背景は、日本市場にどういう影響を及ぼすのだろうか。

第1回へ

第2回へ

第3回へ

第4回へ

「番外編」へ

トップへ