●海外特別レポート●

第1回

パーム油世界トップの原産国 〜マレーシア〜

【高度経済成長と長い歴史が生んだ強烈なコントラスト】

 東南アジアの中心に位置するマレーシアは、マレー半島とボルネオ島の一部から成り立っており、国土面積は33万33平方キロメートル、人口は約2500万人。日本の面積の9割弱の土地に、日本の人口の16%程度が住んでいる。年間の平均気温が26〜27℃という気候を背景に、天然ゴム、パーム油、石油など一次産品輸出国として発展してきた。さらに、80年代後半から緩和した外資系の導入により、現在では製造業を中心とした工業化も進むなど、安定した経済成長が続いている。
【本紙記者=太田健一】

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 ペナン到着の翌日、一行が訪れたのは、花王のマレーシア事業場。ファティケミカル、花王ソープ、花王オレオケミカル、花王プラスチサイザーの4社から成っており、原材料であるアルコールや可塑剤、EBワックス、石鹸チップや製品化した石鹸をそれぞれ扱っている。
 まず、一行を迎えた同社の平尾宗樹社長が、会議室でマレーシアの概要やオレオケミカル関連の現状などについてスライドを用いて説明。その中で、マレーシアにおけるパーム油の生産量は04年が1356万5000トン、05年が1380万トン、パームカーネルオイルも04年が159万トン、05年が159万5000トンと世界トップであることを挙げたほか、国土面積の約20%がパームプランテーションであり、同国では作付面積がこれ以上増やせない状況であるため、インドネシアの作付面積が増加しているといった現状を説明した。
 続いて訪れたのが、花王事業場に隣接する大手プランテーション会社、IOIグループのAcid chem。鍾威徳、劉志泉、NORZAMLY IBURAHIMマネージャーらが、特殊な石鹸チップを用いたオリジナル石鹸を要望に応じて作成しており、その製品が日本でも東急ハンズに納品されていること、サンプル作成も1kgから応じていることなどを説明。併せて、現在日本の企業3社と原料面で取り引きを行っていることを挙げ、今後、製品を含めた日本市場への参入強化をにおわせた。
 高い経済成長率 インド
 翌日の夕刻、クアラルンプールからインド・ムンバイへとわたった。インド随一の国際貿易都市であるムンバイ(旧ボンベイ)は、現在1600万人余りの人口を抱えている。高層ビル、高級ホテルが立ち並び、スーツ姿のビジネスマンが忙しく歩き回る。しかし、その一方、宗教的な対立にカースト制度、民族間による問題がまだまだ多く残っており、貧富の差も歴然。インドの歴史と混沌を凝縮した都市といえよう。
 ムンバイ到着の翌日は、午前中にショッピングセンターや証券取引所を訪問。午後からは、インド最大の化学業界の国際展示会India-chemを訪ずれた。同組合の賛助会員でもある川研ファインケミカルや、今回の視察メンバーにも入っている丸紅商事のほか、日本企業も十数社が出展。各社、アジアに続き、インド進出へのトライアル的な展示会という位置づけをしており、インドではまだ馴染みの薄い界面活性剤ほか化学製品などのサンプルを紹介していた。  
 翌日は、パーム油脂を原料とする高級アルコール、脂肪酸などを扱う現地の大手メーカー、Godrej Industriesを訪問。NADIR B.GODREJ氏、MATHEW EIPE氏、Nitin S Naber氏らが現地の情勢などを発表したのに続き、同組合の米田義章専務理事が日本の市場状況などを説明。特に化粧石鹸市場の減少理由が、液体ボディソープの台頭であることや、台所用洗剤の生産量が、製品の濃縮化によるコンパクト化で減少していることなどを強調した。その後、グリセリンや脂肪酸のプラントを見学。社内の食堂で昼食を取り、同社を後にした。

 ◇◆
 翌日は早朝からジャイプールへ空路で移動。赤い城壁に囲まれ、ピンクシティと呼ばれるハワー・マハル(風の宮殿)や、何十頭にも及ぶ象のタクシーが有名なアンベール城などを訪れた。その後、230km離れたアグラへバスで約6時間かけて移動。翌日、インドで最も有名といっても過言ではない世界最大の大理石建築、タージ・マハルや、城壁の高さが威圧感を醸し出すアグラ城などを見学、一行はその荘厳さに驚愕していた。さらに、昼食後、今度はアグラからバスで約4時間、200km離れた首都デリーまで移動。第1次世界対戦の戦死者を弔う高さ42mのインド門などを見学した後、一行は空路、マレーシア・クアラルンプールへと戻り、成田空港組は帰路へ、関西空港組は便の都合上、機中1泊しながら帰路へと着いた。
 今後さらなる成長を見せるか
 90年代を通じ年平均6%の経済成長を実現したインドは、90年代の中盤には3年連続で7%を超える高い経済成長を達成。05年度のGDP成長率も8・4%を達成するなど、経済の拡大傾向は依然衰えを見せていない。日用品マーケットについても、全体の金額ベースで03年が6000億ルピー、04年が6090億ルピー(1ルピー2・5円)と成長傾向にある。特に洗濯機の普及による粉末洗剤や、制汗デオドラント、ヘアダイなど、ライフスタイルの変化に伴う商材が伸びつつある。
 しかし、今回の視察で、電力や道路、工業用水などのインフラ整備がまだまだ未発達であることを実感した。最大の商業都市とされるムンバイでさえも、多くの人が路上生活を余儀なくされているの現状だ。ただ、インド人口の50%以上にあたる5億5000万人が25歳以下という若年増であり、その年代の一部が高い教育を受け、インド経済を発展させたIT産業の分野に明るいことからも、さらなる経済成長が予測されており、10年後に同地を訪れたときにはガラッと雰囲気が変わっているかもしれない。

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