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視察団一行は、シカゴにあるACニールセン社を訪問した。同社は、「ICタグ」または「電子タグ」として広く知られているRFID(ラジオフリークエンシーアイデンティフィケーション:電波方式認識)を使い、メーカー、小売業のマーケティング、マーチャンダイジング分析を支援している。ここでは、RFIDの技術的現状とアプリケーションを学んだ。
ACニールセン(イリノイ州・シャウムバーグ)
◆大量在庫や欠品を解決
同社は、オランダのメディア会社「VNU」傘下の世界最大のマーケティングインフォメーション会社。従業員は2万人強で、100ヵ国以上のコンシュマープロダクト及びサービス業界に市場調査や分析サービスなどを提供している。また世界80ヵ国以上で12万5000世帯以上の消費者パネルからデータを収集するだけでなく、小売業と契約を結びスキャンデータを購入し、スーパーマーケット、ドラッグストア、カテゴリーキラー、コンビニエンスストアからデータを収集している。
分析されたデータは、メーカー、小売業それぞれの立場で製品開発、市場分析、新製品の導入、カテゴリーマネジメントなどに生かされており、その信頼性は非常に高い。
「RFID」を採用する目的は「正しい商品を」、「正しい場所へ」、「正しい時間に」、「正しい数量で」納品すること。配送センターでの大量在庫や店舗での欠品を解決する方法だ。小売店側は、売り上げ改善、ブランドロイヤリティや購買客ロイヤリティのアップを図れることに加え、販売促進の実行やインストアマーチャンダイジング、在庫補充がしやすくなる。
現在RFIDの実験に参加している企業は、小売業ではウォルマート、メトロ、ウォルグリーン、ターゲット、アルバートソン、ベストバイ、テスコ、ライトエイドなど多数。またメーカーではP&G、ファイザー、J&Jなどが参加しているという。
◆日米で規格も標準化へ
RFIDは、微小な無線チップにより人やモノを識別・管理する仕組み。流通業界でバーコードに代わる商品識別・管理技術として研究が進められてきたが、それに留まらず社会のIT化・自動化を推進する上での基盤技術として注目が高まっている。「Suica」に代表されるようなICカードと言われるものもRFIDの一種。これはRFIDカードとも呼ばれ、原理は同じである。RFIDタグとRFIDカードの違いは、主にその機能によって区別される。RFIDタグは、従来のRFIDカードから機能を切り取り、小型化・低コスト化したものを指す。
耐環境性に優れた数センチメートル角程度の大きさのタグにデータを記録し、電波や電磁波で読み取り器(リーダー)と交信。近年ではアンテナ側からの非接触電力伝送技術により、電池を持たない半永久的に利用可能なタグも登場している。タグは、ラベル型、カード型、コイン型、スティック型など様々な形状があり、用途に応じて選択する。通信距離は数ミリメートル程度のものから数メートルのものがあり、これも用途に応じて使い分けられる。
製品にID情報を振るための規格では、米マサチューセッツ工科大学が中心となって進めている「オートIDセンター」の取り組みが先行している。これには、ウォルマートやP&Gなど大手流通業者や消費財メーカーのほか、バーコード管理団体のUCC(ユニフォーム・コード・カウンシル、現GS1・US)や国際EAN協会(現GS1)が参加している。また、日本でも、東京大学の坂村健教授などが中心となって「ユビキタスIDセンター」が設立され、大手電機メーカーなどが参加している
コード体系はメーカーID+商品ID+ユニークID(メーカーが自由に使える番号)で構成されている。
◆購買行動など把握し分析代行
流通の現場では、リーダーでタグを読みとることで、商品の流れをスピーディに、効率的に、簡単に把握することが可能。例えば、リーダーを把握したい地点に設置することで、小売業の配送センターから店舗の棚までの商品のトラッキングや在庫を正確も把握できる。
物流センターでは、欠品の感知、トレーシング、センター運営コストと人件費が削減できる。配送でも、スピード、精度、効率がアップ。店舗では棚の在庫が把握できるほか、棚への自動補充システムを構築することで欠品をなくすことができる。商品ごとにICタグをつけることで店舗内の客動線管理や商品を手に取ったり、戻したりという行動を把握することも可能になる。レジでは、リーダーで商品を認識するため、現金で精算せずカードなどで決済する。
情報が大量になると分析が困難になるため、ACニールセンでは、分析サービスを考えて提供している。例えば、これらのトラッキングデータとPOSを組み合わせて、商品の在庫と売れ行きを時間軸で捉え、販売促進効率やプロモーション時期などに問題がなかったか細かく検証できるようにする。また、消費者パネルデータとの組み合わせで購買動機を把握することも可能だ。
◆課題克服し便利な使い方を
将来、家庭で、冷蔵庫などにタグが添付されると、少なくなった食品の購買推奨や自動宅配補充などのサービスが可能になる。また、小さなタグがついた食品を買ってきて冷蔵庫に入れると、自動的に識別し庫内の食品リストを作ったり消費期限を知らせたりする“インテリジェント冷蔵庫”などのIT家電が構想されているという。
このように、物流やサービスの効率化に貢献するが、データの膨大化、データの発生地点と終了地点がわかりにくいこと、読み取り精度や生産コストによる普及可能性など問題もある。セキュリティ面の機能を削ってしまっているために、読み取り可能な距離が長いものについては、プライバシー侵害の危険性などを指摘する声もある。
すでに、メトロ、ウォルマート、ウォルグリーンなどが採用を進めており、米国では今後4〜5年で普及すると考えられている。日本ではさらに先になると予想されるが、その時はACニールセンのような分析のプロフェッショナルが、今以上に重宝されるようになるだろう。
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