【企業訪問編】

小売販売業務のすべてを代行する

アコスタ・セールス&マーケティングカンパニー
 

 今回から企業訪問編に入る。時系列的にはさかのぼる形になるが、渡米3日目にニュージャージー州のブローカー会社、アコスタ・セールス&マーケティングカンパニーを訪問した。同社のスタン・バラッソカスタマーチームセールスディレクターとポール・ムルバニーシニアカテゴリーデベロップメントマネージャーから、企業概要や組織、カテゴリーマネジメントの背景とビジネス戦略、営業が活用する情報ツールなどについてレクチャーを受けた。

 アコスタ(ニュージャージー州・ハッケンサック)
 
◆販売をアウトソーシング
 「日本の流通は複雑でアメリカは単純」というイメージがあるが、実はアメリカにも「ブローカー」という日本にない仕組みがある。アコスタ・セールス&マーケティングカンパニーは、メーカーやホールセラーと小売業の間に位置し、セールスとマーケティングの代行を受託するアウトソーシング会社である。
 そのブローカーの中でも全米トップの規模を誇るのが、このアコスタ。もともと、フロリダ州にあったアコスタ、中西部のPMI、ボストンのMAI、西部のケリークラークなど、それぞれの地域ブローカーが6年くらい前から合併してできた会社で、販売先は現在、全米の消費財関連小売業すべてをカバーしている。
 全米を6つの地域に分け、16ヵ所のプランニング拠点を持っている。従業員は約1万1000人。04年の売上高は400億ドルで、小売り額では600億ドルに上る。クライアント(メーカー)が1300社、その中で100%販売を任されているは数十社ある。そして、この数十社で同社の売り上げの半分以上を占める。
 地域ブローカー同士が合併したのにはしかるべき理由がある。まずウォルマートのような小売業が巨大化と寡占化してきていること。また、C&Sのようなホールセラーやメーカーも巨大化、さらに、グローバリゼーションの進展とともに、米国クライアントが海外部門の売り上げも着実に伸ばしていることが挙げられる。
 
◆7つの差別化ポイント
 同社はメーカーではないため、ものを製造するわけではなく、またものに所有権があるわけではない。従ってまず、人材が差別化のポイントになる。次に、インテグリティ(誠実さ)。ビジネスにあたり、利益が出ないからやらないとは限らず、また逆に、利益が出るとしても、ビジネスとして正しくなければ一切しないという理念を持っている。3つ目に、結果志向であるということ。最終的にクライアントの売上高を高めていくことを差別化のポイントにしている。4つ目としては、信頼関係を挙げている。5つ目がチームワーク。個人で動いているわけではなくチームで動いているということである。6つ目に、イノベーション(革新)を挙げている。最後に、プロフェッショナルライフとパーソナルライフのバランスを取りながらビジネスを進めていくことを挙げている。
 
◆分析、計画、実行そしてサポート
 アコスタの基本的な業務は、店頭起点マーケティングでのソリューションビジネス。全社的戦略としてカテゴリーマネジメントを実施し約10年になる。現在新しいチャレンジを進めており、プロセスのスピードアップ化と効率化のため、ウェブ、インターネットによるシームレス化を進めている。
 現状の日本の流通に当てはめると、全消費財メーカーのセールス、全消費財卸店のセールス、販売店のバイヤー、店舗企画会社、デザイン会社、広告宣伝会社、資金調達などの小売販売に携わる業務すべてを代行・コーディネートするする会社というわけだ。
 具体的には、独自の情報分析能力を駆使し、スーパーマーケットやドラッグストア、ホールセールクラブ、マスマーチャンダイザー、スーパーセンター、コンビニエンスストア、スペシャリティフードといった小売業カスタマーに計画を立案し問題解決策を提案。また、幅広い商品ポートフォリオによるカテゴリーマネジメント戦略、Eコマース戦略の推進による情報のクォリティ向上とスピード化を実行することで販売とマーケティングをサポートする。
 一方、ブローカーの伝統的な強みである低コスト販売を実現するため、情報投資を積極的に行い、BtoB戦略の採用により全米レベルの一貫したシームレスな販売システムを構築している。同時に、シンジケートデータサービスを行っているインフォメーションリソーシィズ社とも戦略的同盟を組み、ウェブベースのフィールドコミュニケーションシステムを構築している。そのビジネス戦略は、日本のメーカー、卸売業、そして小売業にとって近未来戦略を考える上で不可欠の知識となる。
 
◆数分で計画立案するプログラム
 同社は、クライアントのアウトソース先であると同時に、リテイルマーチャンダイジングという意味では小売業にとってもアウトソース先である。クライアントビジネスマネージャーとカスタマービジネスマネージャーが一緒になってビジネスを行い、カスタマーとのインターフェイスを持っている強みを最大限に生かしている。
 クライアントビジネスマネージャーの仕事は、クライアントの業績など戦略目標を設定する。ビジネスの人材管理や予測業務も行い、最終的にはクライアントの経費がちゃんと使われているかどうか照合している。そのための人材についてもクライアントと話し合う。クライアントの成長が10%マイナスとなれば、アコスタが提供する人材も10%カットする。
 戦略プランは前年のデータに基づいて作り上げていくわけだが、コンピュータープログラムの「計画立案ツール」にデータが入っており、かつては2週間かかったが今では数分でできるようになったという。
 カスタマーマネージャーがそれを実行に移すと同時に、小売業の戦略プランの開発を支援。販売促進、新製品の導入も行っている。大部分の商品に関し、正しいアイテムが揃っているかどうかという品揃え戦略と、それが実際に棚でマネジメントされているかの在庫管理を行っている。
 ビジネスマネージャーの仕事は、ナショナルチェーンでの話になる。ローカルチェーンになると戦略プランはカスタマーマネージャーの仕事になってくる。小売業カスタマーの巨大化により、クローガー、アルバートソン、セイフウェイなどのナショナルチェーンに対してはナショナルカスタマーチーム、また、HEB、ショップライト、A&Pなどのリージョナルチェーンに対してはリージョナルカスタマーチームにより対応している。
 ◆各メーカーが続々と委託
 以前は販売ボリュームが重要だったが、今では効率が重要視されている。アコスタは、トレードプロモーションによって経費をコントロールするなど企業の経済性を活用して、サービスを低価格で提供できるようになった。好景気の時は直販でもいいが、今は競合と戦うため、きめの細かい営業戦略と地域に根ざした効果的なマーケティング戦略が必要。説得力と信頼で小売業と密接な関係を作らなければいけない。
 15年前までは、消費財の40%がブローカー経由、メーカー直販が60%だったが、現在はブローカーが65%〜70%、逆に直販が25%〜30%になっている。数字が効率の良さを物語っている。現在ナショナルブランドでは、キャンベルスープ、ネスレ、クラフト、コダック、シック、バイエルなどを扱っている。もともとキャンベルは全部自社で販売していた。ところが最近になり、100%自社セールスやめてアコスタにビジネスを任せるようになった。P&Gやクラフトも移行してきている。なお、ハインツは9割以上、ゴートンが約8割、フレッシュエキスプレスは過半数以上を委託しているが、これらを100%に高めていくのが今後の課題だという。

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