洗剤新報社 主幹

町田正一郎

 

花王の子会社/ジャーゲンズ社

シンシナティ

 

 シンシナティには、P&G本社に加え、花王が1988年に買収したジャーゲンズ社(ビル・ゲントナー社長)がある。これは花王の米国におけるスキンケア事業の核と位置づけられている企業だ。ローションを中核製品として順調な伸びを示し、いまや欧州の美容室向けヘアケアメーカーゴールドウェル社(アールヌルフ・ダイバー社長、本社ドイツダルムシュタット)と共に花王の海外子会社の双璧(両社合わせた売上高は推定1000億円)を成していることもあり、花王の技術力の威力を痛感した。加えて言うなら、両企業とも現地人を経営トップに据えていることが印象的で、これが有形無形にプラス作用をもたらしていると思わざるを得ない。花王から派遣されている田中悟ディレクターは、現地スタッフへの助言や日本との調整役を中心として活躍している。花王側で中心的役割を果たしているのは技術陣で、いわば同社は、金と技術は出すが口はあまり出さないという考えで事業展開しているものと思われる。
 ◆社歴と事業概況
 ジャーゲンズ社は1888年、ジャーゲンズソープカンパニーとして設立され、1894年にジャーゲンズ兄弟がマネジメントすることになり現在の社名となった。この地方は養豚が盛んであったこともあり、石鹸とローソクから事業を始めたというあたりは、スタートがP&Gと似ている。
 1988年に花王が買収、スキンケア商品を核に事業展開するようになる。そして2001年の実績は、花王買収時と比較して売上高で約2倍、そして利益は実に4倍以上と飛躍的に伸びた。
 ジャーゲンズ社の主要ブランドは現在、「ジャーゲンズ」、「ビオレ」、「キュレル」、「バン」の4つ(花王買収時はジャーゲンズのみ)で、これらは米国以外でもカナダ、メキシコ、中東中心に、世界50カ国以上で販売されている。
 こうして成長を続ける背景についてビル・ゲントナー社長は@花王の技術導入でブランドが増加したAM&Aでパーソナル関連の商品が拡大したBムダ毛処理ローション「ナチュラリースムース」の大きなヒットCEVA導入の成果−−の4点をあげていた。
 ジャーゲンズ社は1901年にローション事業を始めたものの、商品の拡大や設備の面で遅れをとっていた。花王はジャーゲンズ社買収後、パーソナル事業の拠点として捉え、技術導入と積極的な投資によってスキンケア製品の拡大に乗り出した。
 その後に現在の本社兼研究所を建設、さらにジャーゲンズ社の経営実務はゲントナー社長を中心に展開している。
 ◆ブランド状況
 <ジャーゲンズ>
 社名ともなっている「ジャーゲンズ」ブランドは、同社にとってローション事業の核となっている。昨年は発売100周年を迎えた。昨年発売の「ナチュラルスムース」は現在まで大ヒットを続けており、直近の4週間合計の実績では9.1%のシェア(ただしウォルマートデータ除く)を獲得、ヘルス&ビューティー市場においてナンバーワンブランドにまで成長した。
<ビオレ>
花王から投入されたグローバルブランドで、1997年に米国で発売を開始した。1998年に毛穴パックが大ヒットし、“革新的”な“洗顔”といったイメージが強いブランドとなっている。
 毛穴パックは市場の70%以上を占める断トツのアイテム。洗顔料中心の事業から保湿剤も含めたトータルフェイスケア事業へと拡大を図っている。ビオレはグローバルブランドとして、それぞれ現地の消費者ニーズに合わせて対応している。
 <キュレル>
 1998年にボシュロム社から買収、キュア効果の高いハンド&ボディローションとしてプレミアムセラピューティック市場にて展開し、直近4週間の合計で約5%のシェアを持つ。
 <バン>
 2000年にチャッテム社から買収、アメリカ人の約80%がほぼ毎日、制汗デオトランド剤を使用しているといった市場環境の中での展開だ。(ただし日本での商標権、販売権はライオンが所有)直近4週間の合計のシェアは5.3%。
 ◆2001年の活動状況
 ジャーゲンズ社の2001年売上高は前年比117%、ネットインカムで前年比109%と好結果で終わった。
 この主な要因としては、「ナチュラルスムース」の大ヒットが挙げられる。米国女性の約90%が定期的に脚のムダ毛を剃るが、その頻度をできるだけ減らしたいというニーズが、この商品の成功につながった。もう一つは在庫圧縮、売掛金のマネジメントを入れたこと、さらにはEVAの考え方の浸透、これらが好結果を呼ぶ要因となった。
 ◆2002年の戦略
 主要4ブランドそれぞれのブランドエクイティ、ブランドパワーを、新製品などを核にしながら強化していく。その実現のため、新製品発売、既存品改良、そしてマーケティング改革を推進していくという。
 ブランド別では、昨年は「ジャーゲンズ」にとってストロングイヤーであった。今年はジャーゲンズスキン、ナチュラルスムースの2つを投入、より売上高を伸ばす。
 「ビオレ」はこの春、新モイスチャライザー「ビオンドスムース」の発売により、フェイスケア市場の半分を占めるとされるケア市場を攻める。特長は、高い保湿効果で小じわを目立たなくし、かつ、使い続けることでムダ毛が柔らかく、細く、目立たなくする点。「キュレル」は新商品「スムースレグ」をこの春より発売、季節商品から年間商品への転換を図っていく。「バン」は、ブランド買収後として初の新製品「ビューティフルスムース」を発売する。
 ◆今後の事業展開
 ジャーゲンズ社は1996年から2001年の間、売上高が平均約11%増と2ケタ伸長を示している。4ブランドが中核ながら、特に「ジャーゲンズ」ブランドの寄与が目立ち、2001年は17%増となった。
 スキンケア市場におけるシェアを現在の21%から2005年には30%に高め、世界トップテン入りを目指し、この市場で地位確立を図りたいとしている。特に今後はM&Aやブランド買収を推進、それに既存4ブランドの次のブランドをどうするか、これらがジャーゲンズ社成長のカギを握っている。ジャーゲンズ社が買収したいと考えているのは付加価値の高いブランド。それと何より花王の技術で大きく成長できるブランドを買収し、さらに広告によって成長を高めたいという。


 

サンスターの子会社/バトラー社

シカゴ

 

 「アメリカの業界企業」の5回目は、サンスターグループのジョン・オー・バトラー社を取り上げる。シカゴ中心街より車で20分ほどの所にあり、サンスターが88年に買収した企業で、サンスターのエース商品であり日本市場では知名度、売上共にトップクラスのブランド「GUM」の故郷でもある。
◆売上高2ケタ増続く
 サンスターは現在、アメリカ、ヨーロッパ、アジアの3極、11カ国に法人とオフィスを配置している。サンスターはこうした国際化の基本理念として「それぞれの地域のそれぞれの国で現地の人々による現地の人々のためになる事業を展開する」としている。
 バトラー社では、共同取材に際してマイケル・G・バヴァ社長をはじめトーマス・M・スタッドニー(新製品・事業開発担当)、ジョン・P・ヘネシー(北アメリカオーラルケア部担当)、リチャード・D・マクマン(財務担当)の3副社長ら幹部及び白川・関両マネジャーが同席した。
 スタッドニー副社長から新製品開発について説明があり、さらにシンクス副社長により工場案内が行われていた。
 バトラー社の本社は、シカゴ市フォスター通りに位置し、敷地は25万平方フィートに及ぶ。社内には年間売上高1億ドル達成を記念して、従業員全員の名前が掲示されていた。
  同社の売上高は、2000年9700万ドル、2001年1億1300万ドル、2002年3月期1億2500万ドル(見込み)と、着実に増加の一途を辿っている。2ケタ成長を続けている主な要因は販売エリアの拡大で、特にヨーロッパ地区ではで大幅に伸びている。商品別に見ると抗菌ブラシや子供用ブラシが高い伸長率を示している。最近ではP&Gの電動ハブラシの影響を若干受けているとのこと。
 社員は700名、うちヨーロッパは120名。カナダ40名。バトラーの歯間ハブラシは、北米でナンバーワンのシェアで小売市場62〜63%、カナダでは70〜80%のシェアで、この歯間ハブラシでは総合的に第2位の地位にある。
 主な製品はもちろんオーラルケアだが、中でも歯間ブラシを得意としている。年間3200万個の殺菌性ハブラシ、把手の付いた成形ハブラシ3200万個、ブラシのみが5000万個をそれぞれ生産している。ブラシ成型機は23台が稼働しており、年間9500万個を生産、うち700〜800万個が日本に輸出されている。
 工場内ではコンピュータとロボットが活躍し、そのため10年前は50名の社員が働いていたが、現在では30名になっている一方、生産量は当時の2倍以上になっている。
 また、特徴的なのは歯科医からの注文への対応で、発注者の名前を刻み(カスタマーインプリンス)、最低ロット12打(6種類)と少量の受注にも応じている。ライバル企業が納品まで5週間かかるのに対して、バトラー社は5日で仕上げるというスピードも特長。こうしてカスタマーインプリンスは、月間で1万6000オーダーを捌いている。
 ◆新製品の開発
 同社では、新製品開発は成長力のためには不可欠と考えており、新製品は差別化された革新的な付加価値が見出せるものであることが大切だとしている。そして当然ながらプロフェッショナル(歯科医)との関係を深くし、臨床試験、専門家から応援されるものでなければいけないという。しかもCIが一貫していること、加えて収益を生み出すものでなければいけない。
 バトラーの全製品の中で、この3年以内に発売したものが現在の売上高のうち20%を生み出している。会社創立80周年ながら、新製品開発のバックグランドには7年前に導入された新開発部がある。そして現在、ここには研究員が12名在籍している。
 新製品開発の研究予算は売上高の2%で、サンスターグループ全体では売上高の3〜4%で。多くの新発売のチャンスがあるのだという。
 バトラー社は現在、電動ハブラシにも着手している。さまざまな面で変換期を迎えており、外部にアライアンスパートナーを求めている。将来的には予防製品だけでなく歯垢除去、治療用品にも進出する狙いもある。オーラルケアに関する全てを提供できる会社にしたいと、その目標は高い。
 この5年間でハブラシ9アイテム、それに歯間ハブラシ、糸ようじなど新製品を20品導入した。全体で85%を占める重要な商品群である。
 今年から来年にかけて発売される商品にはテクニックハブラシ、特殊ハミガキ粉、次世代ハブラシ、ニッチ商品などが予定されている。長期的な計画では、抗菌性薬剤や口内炎用など歯科向け、外科用製品も発売する構想がある。これら商品については何より差別化を重要している。


 

ジェニコ社と米国日本香堂

シカゴ

 

 日本香堂のアメリカにおける活動状況を紹介したい。グループ企業であるジェニコ社(シカゴ)と、米国日本香堂を統括する米国駐在員事務所の活動を追ってみた。
 
◆ジェニコ社
 ジェニコ社は日本香堂が買収、傘下に収めたインセンスの専門企業。1923年スタートというから約80年の歴史を持つ。2年前に日本香堂が株式を買収、これに伴い、日本航空にも勤務した経験を持ち、海外経験の豊富なマイク敦賀氏を社長、CEOに迎えた。副社長にはダナ・モリソン氏が就任。両人の二人三脚でジェニコ社を運営している。敦賀社長は朝5時起床で、出勤も一番乗り。社員の退社時間は午後4時半と早いが、敦賀社長はそれ後に本社やその他とメールで連絡を取り合うなど6時頃までオフィスでがんばる。
 ジェニコ社の工場はインセンス専門で、年商は10億円弱ながら、昨年の伸び率は10%と2ケタを達成、今年も5〜6%の伸長で推移している。決算期は4月で、利益率は20%と高い。正社員25名とパートタイマーが就業している。倉庫兼工場はワンフロア5000F×3層で延べ1万5000Fの面積を持ち、約2万ケースの保有能力を有している。ここにはインセンスづくりの名人がいて、1人で年間2億本も製造してしまうとか。勤務時間は7時半から4時まで。
 敦賀社長は社員との触れ合いを特に大切にし、「ハグ」と称する身体で表現した挨拶で社員を励ましていた。
 

マイク敦賀社長のはなし
 ダナ・モロソン副社長は2000年9月11日入社、販売と販売促進、財務それに生産全般を担当し、私と二人三脚でがんばってくれている。最近の傾向として頭が痛いのは、倒産企業が出ていることだ。
 セールスマンは、コミッションベースで42名が勤務、全米を18のグループに分けて活動している。エリア制で4つのカテゴリー(グロサリーストア、ヘルス&ビューティ、ドラックストア、ニューエイジ)別に担当している。
 現在のところヒットしているインセンスはガーニッシステック(庇護神)の「インディビジル(何人も心が一つ)」で、これはアメリカで発生したテロの影響に対して、何らかの手助けをしたいという意図から発売したもの。
 ジェニコ社は1923年にスタート、当初は「ヒンズー・インセンス・マニファクチュアリング・カンパニー」と名乗っていたが、65年に「ジェニコ社」と改めた。
 アメリカのホームフレグランス市場の規模は220億ドル(約3兆円)と推定され、インドやタイからの輸入品が多い。
 香り付き線香を製造しているのはオルファクトリー社と当社のみだが、アメリカのフレグランスエッセンス市場は1億ドル(130億円)にものぼる。テロ発生までは2ケタ伸長していた市場だが、現在は1〜2%に低下してしまった。それでも当社は昨年に比べて5〜6%の伸長を続けており、もしテロがなかったら15%ほどの伸びが期待できた。当社のシェアは15%ほどと推定している。
 国別の輸出先では日本がトップ、次いでカナダ、メキシコ、イギリス、チリの順で、トータルセールスの約20%が海外に輸出している。
 コストを比較的低く抑えることができる理由は、昔からの秘伝にしたがって調合していること、それに中国から半製品で輸入していることによるもの。

 ◆米国日本香堂
 辻経三郎米国駐在員事務所長は1985年に日本香堂のニューヨーク所長に就任。現在まで海外における日本香堂の企業活動に携わり、フランスのエステバン社やシカゴのジェニコ社の買収、さらにレストランビジネスではオーランドやサンパウロでの店舗オープンに尽力した。
 共同取材には辻所長と田辺賢一マネジャーが対応、両人から米国日本香堂の近況について聞いた。

 辻経三郎所長のはなし
 テロ発生直後は法規制が厳しくなり、例えば1人しか乗っていない車ではマンハッタン地区に入れない。それは車を調べるのに1人乗りでは効率が悪いという理由によるもの。このため私は通勤時に8キロほど遠回りする羽目になっている。
 米国駐在事務所の実際のオペレーションはロサンゼルスで行っており、いまは7名ほど勤務している。米国日本香堂は76年に設立、ロサンゼルスのトーラスとニューヨークでは3時間の時差があるため、ニューヨークで注文を受けると、その日に出荷できる利点もある。
 メイン商材はお香で、その中では「毎日香モーニングスター」が売上高の約50%を占めており、67年から続いているヒット商品として知られている。仏具は西海岸が強い、96年頃から南米にも進出、これは先代(故・小仲正規氏)がブラジルに関心を持っていたこともあって、小仲正久会長が決断した。ブラジルでは香りに対する関心が高く、化粧品なども高い売上を示している。例えばエイボンの販売員の数は軍人の数より多いといわれているほど。
 アメリカのインセンス市場のまだまだ未成熟と言えるが、しかし将来的には有望な市場だ。アメリカには目や耳を楽しませる文化は多いが、鼻についての文化がなかったためだ。つまり室内の香りを楽しむ風習がアメリカにはなかった。強いて言えば石鹸やローソクが出ているが、これらは香りの持続性がなく、その意味では線香にかなわない。


 

有力チェーンの販売激戦地

シンシナティ

 

 ウォルマートをはじめとする有力チェーンが密集する全米でも有数の販売激戦地・シンシナティの状況をレポートしたい。
 オハイオ州シンシナティ、はいうまでもなくP&G本社の所在地、さらに花王が買収したジャーゲンズ社も構えている。静かで壮大な田舎町といった感じだ。街は碁盤の目のように区画整理され、一直線に伸びた道路が東西南北に走っている。
 シンシナティの中心街から車でおよそ30分近く走ったところでは、ウォルマート、Kマート、ターゲット、クローガー、ウォルグリーン、コストコ、マイヤーといった有力小売チェーンがわずかな距離をおいた地域内で販売を競い合っている。
 そこで、全体を巡って幾つかの印象を総括してみたい。
 第1は、競争は激しいが、その中にあって自社の独自性、特徴をいかにお客に訴求していくか、ここにポイントが置かれている。したがって日本のように血で血を洗うような価格競争を行い、その出血分をメーカーや卸店にバイイグパワーで押し付けるといった単純な図式は見られない。例えばP&Gの「クレストスピンブラシ」は1本49.7ドル前後で各店がほとんど変わらない店頭価格。いわばお客にとっても納得のゆく価格だ。各店の特徴については後日、詳しく紹介していきたい。
 第2に詰替用が全く見られない。液体製品などは大型ボトル中心の販売で、例えばウォルマートにおける「液体タイド」の価格は2.46キロ入で7.99ドル(約520円)。これは日本の洗剤より約30%高い設定だ。あとは粉末タイプという
品揃え。そこにはあまり環境問題が身近なものとして感じられない。
 第3は、大陸気候やファッション性の関係からか、ボディローションやヘアカラーの陳列スペースが大きいのに驚いた。
 
◆各チェーンの特徴◆
次に有力チェーンの店舗展開はどうか。全米における各社の店舗数は、ウォルマート約2700店舗、クローガー2400店舗、Kマート2000店舗、ターゲット1000店舗、ウォルグリーン3400店舗、コストコ260店舗など。
 この中でいま最も注目されているのがクローガーで、接客態度、品揃えで差別化を図ろうとしている。いまや、西海岸のアルバート社を抜いてこの系統ではナンバーワンにランクされてきたという。
 ウォルマートは他店よりも価格が若干安い。だが、アメリカのチェーンとしては通路がやや狭く、商品管理もターゲットに比べて少し劣る。しかし、このシンシナティ郊外に展開する他店と同時間帯における来店客数を調べると、やはりウォルマートが最も多い。その人気の秘密は価格と大衆化で、特に家族(子供)連れが目立つ。また、何となく親しみやすい身近な店といった印象を持つから不思議だ。
 高級化路線のターゲットは、ウォルマートやKマートにと比較してよく整理された店頭陳列が印象的。また陳列棚の特徴の1つとして、棚にゼンマイ仕掛けがしてあって、お客が商品を手にすると自動的に次の商品が前に押し出される仕組みを採用している。常に手に取りやすく、見た目にも棚に穴が空くことなく整然としている。
 Kマートは会社再建中のためか、やはり客数が少なく、商品によっては大きく棚に穴が空いて欠品が目につく。ただ最近、レジの一部でお客がカードにより自動計算できるシステムを採用、これで人件費を節約、それだけ安く売れる仕組みを構築していた。
 クローガーは食品系&ドラックの店で、いま急速に拡大して注目されている。全米2400店舗と屈指の出店数で、各地で同様なスタイルのチェーンを次々と買収して勢力を伸ばしている。品揃えと接客の良さが評判で、食品売場では日本など海外5カ国の食品が棚ごとに区切って陳列、海外からの来店客が買いやすいように細かい配慮をしていた。とにかく徹底的な合理化と、もう1つは有力ブランドとそっくりのデザインの自社ブランドをその隣に陳列、しかも自社商品は一般品陳列より10センチほど飛び出させて目立つように工夫している。商品面では食品が充実していて、トイレタリー商品はそこそこの品数だ。
 コストコ(会員制ホールセール)は、年間42ドル支払えばすぐに会員になれる。必ず敷地の目前にはガソリンスタンドを設け、会員は10%割引された価格でガソリンが買える仕組み。電気製品も含めてありとあらゆる商品が陳列され、その特徴はユニットが大きいこと、価格が安いことなどがあげられよう。
 ウォルグリーンは3400店舗と全米一の店舗数を誇り、コンビニ的な店。お客がちょこちょこと買うには便利で、いわばコストコとは正反対の経営だ。1店舗当たりのスペースは比較的小さく、基本的にはお客が欲しいものをあまり動かずに手に入れられるような仕組みだ。商品面ではヘアケアやビューティケアが特に強い印象を受けた。
 マイヤーは24時間営業が特徴の1つで、アパレルなどほとんどの商品カテゴリーが陳列されている。共働きの家庭には便利な店であろう。質の良い商品で勝負し、食品、衣料、日用品、家電と何でもあり。一種のホームセンターといってもいいだろう。いわばウォルマートとターゲットを合わせたようなチェーンだ。


 

米国有数の搾油企業・ADM社

シカゴ

 

 シカゴはイリノイ州北東部に位置する、ミシガン湖を望む美しい街。ニューヨーク、ロサンゼルスに次いでアメリカ第3の人口を抱える大都市で、アメリカ中西部における商業、工業、交通の中心的な街である。
 そんなシカゴから、雪の中を時速100Km以上で車をとばすこと3時間ほどの距離にイリノイ州ディケーターの街がある。シカゴからは行けども行けども雪景色が続き、周辺の風景は全く変わらない。そうして辿り着いたのがディケーターのADM(アーサー・ダニエルズ・ミットランド)社である。イリノイ州はアメリカでも有数の大穀倉地帯であり、ADM社への道程はトウモロコシと大豆の大農場の中をどこまでも走り続けるかのような印象だ。
 ディケーターは、そうした穀倉地帯の真ん中にあり、この街にはブルドーサーなどの製造で世界的に有名なキャタピラー社の工場もあり、ADM社と共に2つの会社が街の大きな部分を形成している。
 ADM社は米国有数の搾油会社で、地元で収穫される大豆やトウモロコシを原料として食用油を製造するほか、小麦粉やそのほか健康食品の原料を大手食品会社に供給している。
 ADM社の従業員数はアメリカを中心に世界で2万2000人、368カ所に工場を所有している。年間売上高は実に2兆円以上に達する、いわば世界有数の巨大食用油企業である。
 そのADM社がいまクローズアップされている花王の「健康エコナクッキングオイル」に注目したことをきっかけに、数人のメンバーにより昨年、「ADM花王」が発足した。数名の社員が研究員として派遣されているようだ。
 現在は、ADM社の敷地内にパイロットプラントが完成し、いよいよテスト販売の準備を進めているとのこと。
 日本の「健康エコナ」とは違って、主としてクッキングオイルやマーガリン、ドレッシングなどの食品原料として、「健康エコナ」の主成分であるジアシルグリセロールを供給していく計画のようだ。健康志向の強いアメリカの消費者に「健康エコナ」が受け入れられれば、かなり大きな需要が期待できそうだ。今後の発展と動向が注目されている。


「洗剤日用品粧報」2002年3〜5月連載